構造と内容 |
本文書群は衆議院議員中島知久平から村山候補への投票依頼はがき(No.1)以外は、全て絵はがきである。大半が未使用である。▼
押印等から年が判明するものもあるが、多くは年号が不明なため、年代不詳である。明治と判明したものも質が良いので、これらに基づけば、他にも同時代のものがあると思われる。切手や印刷所、写真の内容から年代を特定する方法も考えられ、今後の調査を待ちたい。▼
大半が白黒写真である(約270枚)。内容は、一府十四県連合共進会の会場風景(No.175)4枚、沼田藩再検地に関する古文書1枚(No.143)のほかは、群馬県内の観光地である。▼温泉は伊香保温泉(59枚)、草津温泉(21枚)、鹿沢温泉(13枚)等があり、当時の独特な温泉場の様子がうかがえる。▼付近の山、渓谷、寺を紹介するものも多い。使用済みはがきの文面からは、当時の観光の様子もうかがえる。▼
寺社は榛名神社(23枚)、大光院(16枚)等がある。山は赤城山(19枚)のほか、榛名山(52枚)と妙義山(33枚)からは参詣と登山が一体となっている様子がうかがえる。▼草津白根山(13枚)、浅間山(9枚)は明治時代の噴火による枯れ木の山肌や立ち上る噴煙等が撮られ、当時の盛んな火山活動の様子を伝えている。▼市部の名所も、高崎観音山・高崎公園等(15枚)、金山城趾(6枚)などがある。▼
対象物が同じものも多いが、撮り方・人物の有無等により、印象が異なっている写真である。観光へ誘うために工夫して撮影されたものが多く、日本の写真史の好資料でもあるだろう。▼
当時の建築や生活、衣服がわかる歴史資料の価値をもつものも多い。風景にしても、現在と違っている点が多く、興味深い。例えば、神社移築前の赤城大沼の様子(No.67)など、今では見られない風景が撮影されている。▼
利用者の興味関心に応じて、様々な価値が見いだされる稀少な資料群である。 |