資料区分 マイクロ
請求番号 PF1902
文書群名 前橋市本町 松井家旧蔵文書
伝存地 前橋市本町
出所 前橋市 松井家
地名 群馬郡前橋本町(近世)/東群馬郡前橋本町(明治11年~)/東群馬郡前橋町本町(明治22年~)/前橋市本町(明治25年~)
旧支配 前橋藩平岩氏領(天正18年~)/前橋藩酒井氏領(慶長6年~)/前橋藩松平氏領(寛延2年~)/川越藩松平氏領(明和4年~)/前橋藩松平氏領(慶応3年~)/前橋県(明治4年7月~)/第一次群馬県(明治4年10月~)/熊谷県(明治6年~)/第二次群馬県(明治9年~)
役職等 前橋町年寄、前橋町本陣など
歴史 前橋の支配の変遷は、天正18年8月に平岩親吉(3.3万石)、慶長6年3月酒井重忠(3.3万石)、寛延2年1月松平朝矩(15万石)。▼しかし、度重なる利根川の洪水により、前橋城を離れ川越へ移城し、明和4年閏9月より川越藩陣屋支配となった。約100年後の慶応3年1月藩主松平直克(17万石)は前橋へ帰城した。▼前橋城下は「前橋風土記」(貞享元年)によれば、本町・連雀町・田町・銀町(白銀町)・鍛冶町・片貝町・中川町・天川新町・十八郷町・紺屋町・榎町・茅屋町(萱町)・板屋町・諏訪町・下之町・広瀬河岸・細沢新町・細沢町・向町の19町があった。▼町の統制役として町年寄が置かれ、文化4年以降、松井家も務めた。▼松井家は、三河国古宿村(愛知県)の出身という。享保年間、権四郎のときに前橋へ移住、宿屋を始めて本陣となり、問屋も務めた(屋号八田屋)。▼なかでも平四郎(儀兵衛、一勝)は、俳人(俳号素輪)としても著名である。
伝来 本資料は当館所蔵の「松井家旧蔵文書」(P01013)のうち前橋町年寄関係文書を、「勝山敏子家文書」(P8702)の一部とともにデジタル撮影して作製した複製本である(2019年度、勝山家寄付金事業)。▼なお、松井家文書は、松井家が内国通運に関わっていたことから、一部(御用雑日記を含む)は物流博物館(東京)にも寄贈されている。
数量 471
年代 元禄12(1699)年9月~大正2(1913)年8月
構造と内容 「松井家旧蔵文書」(P01013)のうち、デジタル撮影した前橋町年寄関係の文書である。▼内容は①前橋町方文書、②松井素輪(平四郎、儀兵衛、一勝)の俳諧関係、③近世・近現代の松井家の私的文書などである。▼▼①前橋町方文書は前橋町年寄関係である。町年寄は通常2名、添役が1~2名いた。▼「御用雑日記」は、前橋藩(県)から町年寄宛ての触綴(綴込文書など)と、町年寄の行動(町からの嘆願書を役所に提出したなど)の日記記録である(No.15、215など)。▼「町々諸願留」は各町(約20ヵ町)の名主が担当町の町民から上がってきた願書・訴状などを町年寄に提出した際に、町年寄側が写した帳簿である(No.10、12など)。▼「惣町家数・竈数・人別・持馬増減御書上帳」も町年寄が町方役所に提出した控えである(No.170、171など)。なお、「惣町」とは前橋町全体を指す言葉である。▼惣町の月番名主が作成したと思われる「惣町雑日記」(No.6)、十八郷町名主が提出した「渡世御書上帳」(No.71)、駅場本町旅籠屋連名の下女勝手次第差置きの請書(No.23)、前橋より駒形・靭負までの里数駄賃銭書上(No.31)などもある。▼▼②素輪(木菟庵、三日月庵、久呂保山人、師からの号として四云庵、宵活亭、麦河亭、喝祖坊など)の関係文書は、井了儀の号による漢詩文もあるが、中心は俳諧である。▼書簡・日記・句集、師による添削原稿等からは、建部綾足(吸露庵涼袋)・活井旧室(活々坊)・伊勢の中川麦浪(麦林舎乙由の子、杜菱)、神風館・白井鳥酔門の三世松露庵烏明・加舎白雄(春秋庵)・生方雨什・羽鳥一紅ら、当時の著名な俳人、上州各地の門人との関係などがわかる。▼61冊の俳諧日記(宝暦5年~寛政4年)には、天気や出来事(天明3年の浅間山の大噴火など)も記されている。▼なお、浅間焼けについては一二庵松井三友による文書(No.398)などもある。▼▼③私的文書は明治13年に問屋業から「中牛馬会社」の営業を引き継いだ交通運輸関係の文書などである。▼本陣の宿泊関係の帳簿「御用日記」(No.213)、国産絹を平塚河岸から深川佐賀町御蔵まで舟で運ぶ取極書(No.41)などもある。▼▼本資料には原本を公開しているものもあるが、状態がひどい史料は複製本のみでの公開となっている。また、利便性と貴重な史料保存の観点から、まずは複製本である本資料での閲覧をご検討頂きたい。
検索手段 「前橋本町 松井家旧蔵文書目録」、インターネット検索目録
関連資料 原本「松井家旧蔵文書」(P01013)。▼▼前橋町年寄関係として一緒に撮影した「前橋本町 勝山敏子家文書」(PF1901)、原本「勝山敏子家文書」(P8702)。▼ほかに勝山家所蔵「文政四年前橋町絵図」(P8701、前橋市重文)、松井家の群馬県史複製資料として「松井隆一家文書」(H0-35-4近世)など。▼町年寄関係の参考文献として『群馬県立文書館収蔵文書目録10 勝山敏子家文書』、「翻刻「明治4年 前橋町年寄日記~御用雑日記~」(当館の紀要『双文』36号)など。▼素輪関係として、紅林健志「素輪『小遣銭』にみる綾足の批点 麦浪・旧室との比較を通して?」(『日本文学研究ジャーナル』 第8号)、同「群馬県立文書館蔵『素輪句集』について」(『鳳朗と一茶、その時代―近世後期俳諧と地域文化―』)、『建部綾足全集』(国書刊行会)収録の書簡・句集の翻刻など。▼参考文献として角川書店『角川日本地名大辞典 10 群馬県』、平凡社『群馬県の地名 日本歴史地名体系10』、群馬県文化事業振興会『上野国郡村誌』、丑木幸男著『上野国郷帳集成』など。
利用上の留意点 原本を公開しているものもあるが(請求番号P01013)、状態がひどい史料は複製本のみでの公開となっている。また、利便性と貴重な史料保存の観点から、まずは複製本での閲覧をご検討頂きたい。▼「群馬県立文書館における特定歴史公文書等以外の文書の取扱いに関する要綱」第5条および「群馬県立文書館における特定歴史公文書等以外の文書の閲覧制限基準」第2(非閲覧文書の指定事項)により閲覧が制限されている文書は本目録から除外した。
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