資料区分 マイクロ
請求番号 PF9207
文書群名 多野郡吉井町 田村家文書
伝存地 多野郡吉井町(現高崎市)
出所 高崎市(旧・多野郡吉井町) 田村家
地名 多胡郡吉井村(近世)/多胡郡吉井町吉井(明治15年~)/多野郡吉井町吉井(明治29年~)/高崎市吉井町吉井(平成21年~)
旧支配 吉井藩領(天正18年~、菅沼氏)/幕府領/幕府領と旗本領(鷹司松平氏・川田氏・松平氏・中沢氏・岩村氏等)の相給/吉井藩領(寛延元年~、鷹司松平氏)/岩鼻県(明治2年~)/第一次群馬県(明治4年~)/熊谷県(明治6年~)/第二次群馬県(明治9年~)
役職等 多胡製糸社惣代、蚕種製造人、県会議員、吉井町第1区区長、等(田村竹次郎)田村屋、田村蚕種業部、瀧屋、保寿堂、田村書房、等(田村家)
歴史 〔田村家〕田村氏の祖は、寛文6年没の次右衛門と伝える。その後、吉井宿の大惣代となり、名主を務めた。田村常吉(天保7年生)は白倉村(現・甘楽郡甘楽町)出身の萩原とらとの間の長女まちの婿として明治7(1874)年、竹次郎を養子とした。▼竹次郎は安政4(1857)年に緑埜郡東平井村(現・藤岡市)の斉藤家に生まれ、当初は竹太郎といった(本項では以下、竹次郎)。▼なお、常吉は明治12年、隠居ののち分家し、次女りよの婿に国峰村(現・甘楽郡甘楽町)出身の庫太(万延元年生)を迎えた(No.37/26、No.65/70、No.65/72)。▼竹次郎は明治18年、27歳で県会議員に当選し、同23年まで在職。多野郡蚕種業組合長として養蚕製糸の改善に取り組み、中山新道の開削に尽力した。大正6年没。▼子の寛次郎(明治17年生)は多野藤岡蚕種共同組合長・区長などを務めた。子は他にテル(明治12年生)、三郎(明治22年生)等がいる。孫の一郎は町農業会長・農協組合長を務め、西毛工業を設立。戦後、私財を投じて吉井中学校を完成、私有地を提供して町営住宅を建設した。(「群馬県姓氏家系大辞典」「吉井町誌」)▼〔製糸社〕多胡製糸社は明治20年創業、明治23年の社員は28名だった。▼北甘楽郡精糸会社は明治13年設立(28年に甘楽社に改称)。甘楽社吉井組は明治26年創業、明治32・33年は男工10名、女工13名、持主糸井半五郎外185人。大正6年は男工11名、女工115名、日給は男50銭、女33銭、石炭消費量354斤、吉井生産組合を合併。大正11年は男工2名、女工156名。大正元年4月、甘楽社吉井組の附属器械製糸工場(吉井生産組合)100釜が生産を開始、この器械糸の出現により、当時の吉井町の座繰の生産額は激減した。▼ほかに、甘楽社井池組(多胡村)は明治21年創業、明治34~40年は男工4名、女工12名、水車1、持主金沢浜吉外198名。吉井生産組合は大正元年~3年、男工3名、女工100名、蒸気機関1・4馬力であった。(『吉井町誌』「養蚕と製糸」「製糸業」等)
伝来 吉井町郷土資料館(現・高崎市立吉井郷土資料館)所蔵の田村家文書の一部を当館が撮影した。
数量 207
年代 明治7年(1874)~昭和2年(1927)
構造と内容 主に田村竹次郎が関わった文書である。最も大きな特色は、蚕種製造関係が約65点、多胡製糸社等の製糸社経営関係が約65点もあることである(点数は重複あり)。▼田村竹次郎は蚕種改善に取り組んだ人物として町誌・辞典等に紹介されているが、当文書群からは桑畑を入手して、蚕種を製造したり、蚕種や繭を売買していた具体的な様子がわかる。また、当地に設立された多胡製糸社、甘楽社吉井組の具体的な様子もわかる。特に竹次郎が今川藤三郎と共に創立委員・惣代を務めた多胡製糸社に関する書類は、廃社届に至るまでの多様なものが存在する。近隣の女性が低賃金で労働に従事した工女関係の帳簿類も興味深い。▼ほかに、米穀・燃料・履き物・教科書・文具・煙草・塩・薬・酒等の小売業関係が約80点ある(大福帳、金銀出入帳、等)。店では多品目の商品を仕入れ、販売していたため、帳簿類からは関係業者や顧客としての近隣住民、小学校等の公共施設の生活ぶりもうかがえる。▼以上の文書には、近隣の商業地である高崎町、藤岡町はもちろん、遠くは岩手県・愛知県・富山県(薬関係)・長野県、県内でも吾妻郡・群馬郡・碓氷郡、鏑川流域や旧・多野郡内でも西は本宿村(現甘楽郡下仁田町)、妙義町・額部村(現富岡市)、南は秋畑村(現甘楽郡甘楽町)・上野村楢原といった、かなり広範囲の人々との関係、物資の流れが見て取れる。▼ほかに、吉井町や同町第1区の行政や、政治関係の資料が約10点ある。近世より栽培が盛んで、専売局東京煙草収納所吉井出張所が設置された煙草に関する文書もある。▼当文書群は全体として、近隣にある世界遺産の富岡製糸場(富岡市)および高山社(藤岡市)にも関係している資料であり、本県の明治・大正期の養蚕(特に蚕種・製糸社関係)の歴史資料として貴重である。
検索手段 多野郡吉井町 田村家文書目録、インターネット検索目録
関連資料 『吉井町誌』『多野藤岡地方誌』等。▼当館収蔵資料に高山社関係として「藤岡市高山 高山家文書」(PF9102)、「高山吉重家文書」(H8-29-2近現)。▼旧・多野郡吉井町の養蚕関係として「横尾家文書」(PF9206)。▼多野郡の養蚕関係として「多野郡鬼石町 城聞家文書」(PF9101)。▼群馬県の蚕種・蚕糸業関係として「佐波郡境町島村 島村蚕種文書」(PF9402)、「蚕業試験場資料」(PF823)、「旧原蚕種製造所前橋支所文書」(H0-41-1近現)、「群馬県立蚕糸高等学校文書」(H10-1-1近現)等。▼他に『群馬県立歴史博物館所蔵資料目録 高山社・蚕業学校関係資料』等。▼(参考文献として角川書店『角川日本地名大辞典 10 群馬県』、平凡社『群馬県の地名 日本歴史地名体系10』、群馬県文化事業振興会『上野国郡村誌』、丑木幸男著『上野国郷帳集成』など。)
利用上の留意点 特になし。
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